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玉蘭(ゆうらん)ちゃんが、いない…… 「えっ!あれ?ちょっと…どこ行った?」 辺りを見回すと、少し離れた所に彼女がいた。 もう一度、ベッドで眠っている子を覗く。 そっくりだけど…… ……あの女の子と玉蘭(ゆうらん)ちゃんは別人ってことか? 「こっちに来いってこと?」 「そうみたいね」 俺たちは玉蘭(ゆうらん)ちゃんのところへ中の人間に気付かれないよう足音を立てずに近付いた。 彼女が先に歩いていくところに、ついていくと、建物の裏の離れに小さな家があった。 ここも坂ノ下の長屋よりかは綺麗な煉瓦造りではあったけれど、母屋?にあたる建物よりかは、かなり小さい。 ここの離れの建物には、外から二階へ続く階段がついていた。 階段を上ると、二階の外からはいる扉がある。水色のペンキで塗られた木製の扉だ。 玉蘭(ゆうらん)ちゃんが、その前で立つ。 「入って良いって事かしら?」 ドアを水夜が指差すと、玉蘭(ゆうらん)ちゃんは、コクリと頷く。 古いドアを、そっとそっと音が鳴らないように、開けるが、ギギギと錆び付いて軋む。 俺は人が来ないか周りを見渡し、水夜はドアをゆっくりゆっくりと開けた。
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