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外に出ると、籠に入った果物が大きな樽の上に置いてあった。 これをすぐに持って行ったところで、水夜と志明(じみん)さんとの話が終わっているハズはない。 どうしよう。 志明(じみん)さんの近所の人が、俺の事を誰だと言うふうに、チラチラと見ている。 小さな村だからか、余所者がいる事が珍しいのかも知れないけれど、分かっていても心地は良くない。 余所者の俺は近所の人達に小さく頭を下げて、散歩する事にした。 ここにずっと居るのはちょっとツラい。 人にあまり会わないような道がいい。 俺のその気持ちが、神様に伝わったのか、人気(ひとけ)のない海が見える場所に出た。 堤防の階段を降りて、1番下の段に座る。 この海は、日本と繋がっているのだなと思うと、何だか感慨深かった。 ザブンザブンと波が心地よい音を立てて、癒してくれる。 さっき、志明(じみん)さんが言っていた、時を超えるような事、ようするに、駄目な事をずっと続けていたら、俺はどうなるんだろうか? 水夜はおまじないを受けろと言ったけど、そうしたら俺と水夜は日記の人達を助ける事が出来なくなる。 水夜が1人で何とかするのか? ……水晶があるから、俺は必要ないんだろうか? 色々と疑問が浮かぶけれど、どうしたらいいのか全く分からない。
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