結ばれる糸

3/17
前へ
/360ページ
次へ
「ん…」 彼女の漏れた声を更に塞ぐ。 頭と、細い腰を引き寄せて全身に彼女を感じたかった。 薄く目を開けて、彼女を見ると、水夜もまた潤んだ瞳で俺を見つめていた。 むしろ、涙ぐんでいるようにも見えた。 「水夜?」 「大好きよ、緋朝。本当に好き」 その言葉を聞いて、もう一度彼女と唇を重ねる。 俺だって、好きだ。 水夜の事がこの先もずっと、愛していける自信がある。 俺たちの絆は特別なんだ。 *** いつもの大きな大浴場、そこで熱いシャワーを浴びさせて貰った。 肩や首を流し、顔を洗おうと鏡を見た。 「……ん?」 額に朱色の塗料が付いている。 しかし、それを拭き取った感じで、少しの拭き残しがあって、それに気が付いた。 さっき、水夜か言ってた泥? 泥にしては、鮮やかな色に見えるけど。
/360ページ

最初のコメントを投稿しよう!

190人が本棚に入れています
本棚に追加