結ばれる糸

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水夜は俺からゆっくり離れると、朝食の準備を再開し始めた。 頭で理解していても、俺の心はどうにかならないか一生懸命で。 食堂の長いテーブルに突っ伏し、爪が食い込む程、拳を握りしめた。 台湾の海で考えていた時よりずっと、何か方法はないかと考えを巡らせ、何の力にもならない自分に途方にくれ、そして恨んだ。 *** 宏則いる山。 朝食を食べ終わって、早速宏則に、美恵(めいふぇん)さんに指輪を届けた報告をしにやって来た。 「そっか、僕のお婆ちゃんに渡してくれたんだ。喜んでくれて…良かった」 暗くて、霧の濃い山の中、懐中電灯の光だけが俺たち3人を照らしていた。 いや、今日はシャオファも一緒だった。 小さな子猫は宏則に抱かれて、俺たちを見つめていた。 以前見た、警戒心たっぷりの目で見ているんではない。俺と水夜を興味津々の子猫らしい可愛い目つきで眺めていた。 「約束、守ってくれてありがとう。僕もね、お兄ちゃんとお姉ちゃんに約束の物渡したい」 宏則はそう言うと、手のひらに真珠くらいの大きさの、白く光った2つのボールを俺たちの前に差し出した。
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