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宏則は「分かった!」と元気よくいうと、大きく頷いた。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん、本当に、本当にありがとう。シャオファも、ほら!」
シャオファは、ニャアンと鳴くと、ゴロゴロと喉を鳴らして、俺と水夜を目を細めて見た。
「俺たちと宏則も大切な人だ、またきっとどこかで出会うかもな」
「うん、そうだね、お兄ちゃん、お姉ちゃん、またね、またね!」
宏則とシャオファは、ゆっくりと光に吸い込まれるように消えていった。
その光を見つめていた俺たち。
陽の光で気持ちよく目を覚ます様な余韻を感じながら、俺は館のベッドで目を開ける。
隣で眠っていた彼女もゆっくりと瞬きする。
「水夜…」
「……なぁに」
同じように、ベッドに横になったまま、彼女は優しい声で俺に答えた。
「宏則に言った大切な用って日記の事か?」
「そうよ」
「でも…」
あれは危険だ。
水夜は俺の方に体を向けて、目を細めて微笑む。
「大丈夫。志明さんが、水晶をもっと、リアルに使えるようにしてくれたの。あの方は凄いわ」
テーブルの上に置いてある水晶。
水夜はそれを指さしたが、俺には前と変わりない水晶のままだ。
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