190人が本棚に入れています
本棚に追加
「リアルにって?」
「いつ、どこで、何が起こるって言うのを確実に予測出来るの。勿論、私が日記で書いてきた事と違う事をするのだから、未来は変わることもあるわ。
でも、その後のこともキチンとどうすればいいのか分かる。私も霊力が上がったわ。もう完全に慣れた物のように使いこなせる。
でも、霊力が上がったのは、私だけじゃないわ、緋朝もよ」
「は?」
「宏則くんから貰ったこの真珠のような玉。あれが私達の霊力を上げたの。小さくして亡くなった子はね、魂が純粋なの。小さければ小さい程、神に近い存在。
宏則くんは死ぬ時でさえ、シャオファの心配をしていた程、心の優しいいい子だったから、その純粋なエネルギーがとても強い」
でも、俺にもうその霊力は要らないのに。
もう、ここに来る事ができなくなるようになる。
俺は手のひらの小さな玉を見つめた。
「私達、離れてもこれのお陰できっとまた会う事が出来るわ。……ううん、私達これが無くても、会えると思うけど…だって沢山想いあってるんだもの。それは私だけかしら?」
俺は、勢いよく起き上がり、首を左右に振った。
「俺も水夜が好きだよ!ホントは離れたくないのに!でも、この別れが大切なのも……分かる」
俺は頭をうなだれた。
別れってこんなつらかったっけ?
何人か付き合って別れを経験したけど、こんな寂しくてツラくて、本当に自分の体がもぎ取られるような痛みを感じったっけ?
涙が勝手に流れた。
男だから声を出して泣くのは堪えた。
だけど、ボロボロ頬を伝う涙を止められなくて、目を擦る。
「緋朝……」
今、彼女はどんな顔をして俺を見ているんだろう?
そんなのも見れない程、俺は泣いていた。
彼女が俺に寄り添い、胸元に抱きついてくる。
細くて小さい水夜の体を片腕で抱きしめた。
もう片方の手は、涙の止まらない両目を覆っていたから使えない。
最初のコメントを投稿しよう!