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「タオルや、新しい歯ブラシはバスルームに置いてあるから使ってね。案内するわ」
俺はバッグから下着とジャージを引っ掴むと、水夜のあとを追いかけた。
1階に下りて、ダイニングルーム入り口前の廊下を左に進み、奥へ歩いていく。
廊下の右手にダイニングルームの大きなガラス窓が長く続き、左手にはまだ入った事のない扉がいくつも並んでいる。
長い廊下には所々にアンティークな照明が壁に付いているけれど、それでも薄暗い。
ようやく、水夜が左側の何個目かの扉を開けた。
「ここよ。ここにタオルと、それと歯ブラシ。じゃあ、ごゆっくりね」
脱衣所は、焦げ茶色の壁面棚があり、その棚と棚の間には頭も洗えるシャワーつきの大きめの深い洗面台。その洗面台の台も焦げ茶色に統一されていた。
向かい側には、女子が好きそうな化粧台が置いてあり、ドライヤーやブラシが片付けてある。
綺麗すぎておままごとみたいだな、なんて思う。
とりあえず、俺は服を脱いで、バスルームへ入った。
「おいおい……」
無駄に広いバスルーム。
部屋の真ん中に、膝丈くらいの高さの円柱の大理石がある。
その円柱の直径はどれくらいあるんだろう。かなり広い。
大理石も浴槽なのだ。
その円柱からお湯がふんだんに流れ出している。
シャワーと蛇口は壁にいくつかついているけれど、何人入れるんだ、この風呂は。
とりあえず俺は体や頭を洗ったあと、真ん中にある大理石の風呂に浸かった。
浴槽の縁に、2段の低い段差があり、その階段を
下りて湯船に浸かる。
ふんだんにある湯が外へ流れ出した。
こんな広すぎる風呂、1人、寂しすぎるだろ。
かと言って、水夜を呼ぶわけにはいかないし。
お湯は気持ちいいのに落ち着かない。
俺は、しばらくしてすぐに風呂から出た。
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