結ばれる糸

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水夜が箱から指輪を取り出し、俺の薬指にはめてくれた。 「あ、このデザイン」 「気がついた?陰陽の形をしているんだよ。だから、こうやってお互いの手の甲を合わせたら…このデザインが組み合うようになってる」 俺は自分の手の甲と水夜の手の甲を合わせ、指輪の陰陽の形をはめ込んだ。 「でも、実際は陰陽の意味は、どうでもいいんだ。水夜の名前の「水」の形に似てるからってのと、2人で組み合わせるデザインにしたかっただけ。実は伊蔵と一緒に考えて、頼んで作って貰った。……気に入った?」 苦笑いすると、水夜は「すごく嬉しいっ!」と伊蔵との話をクスクスと笑った。 「私の服のコーディネートと言い、緋朝の指輪といい、私たちは、お互いに伊蔵くんにお世話になってたのね」 「ホントだな」 この幸せはあともう少し。 だけど、俺たちの絆はずっと結ばれている。 *** それから、また数日。 仕事帰りに水夜の館に今日も寄る。 路地を通って屋敷の前の庭の前に立った時だった。 水夜はすぐに扉を開け、俺を出迎えてくれたが、俺は立ち止まったまま、周りを見渡した。 景色が少し揺らめいている? 目を擦って、もう一度景色を見ると、景色は揺れておらず、何もかもハッキリ見えた。 「緋朝…」 だけど、水夜もその異変に気がついたようだった。 俺の元へ走ってくると抱きつく。 「……まだ、今日は一緒に過ごせるかな?俺たち」 「………」 何も言わず、俺の胸に顔を埋める水夜を、ぎゅっと抱きしめた。
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