宮本美世

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美世は俺をオドオドとした目で見ていた。 真っ黒で真っ直ぐなロングボブの髪。 色白で、長いまつ毛で縁取られた目。 水夜ではない。 でも、雰囲気が水夜に似ていた。 落ち着いた、ゆったりとした印象が。 「宮本、緋朝です」 俺たちは交際を始め、結婚した。 美世はとても優しく、初めの印象通り、落ち着いた物腰で俺を世話してくれた。 俺も彼女を幸せにしたいと心から思い、できるだけの事はした。 美世を愛していた。 ただ、たまに思い出すのは…… 水夜が今どうしているのか。 美世に申し訳ないと思った。 水夜を忘れる事は出来ない。 でも、美世を大切にしたい気持ちは本物だ。 指輪は外して箱にしまっていたけれど、たまに眺めると、あの館に行きたいと強く思ってしまうのだ。 あの宏則からもらった綺麗な球も…… そういえば、その球は、そのうち指輪に吸い込まれるように 馴染んで、指輪のデザインのように、本当に陰陽のマークの様に丸い部分にはめ込まれた。 そうなったのは、水夜と会えなくなって、1年後。 まだ独身だった時だ。 どうしてそうなったかは分からない。でも、指輪を眺め過ぎたのかも知れない。 水夜の指輪にも、宏則から貰った光の球が指輪に入ったかな…? 俺のこと、考えたりする日があるのだろうか。 考えれば、考えるだけ寂しくて、悲しくて、心に穴が空いた様になる。 またそうやって水夜を想う自分に、今度は美世に寂しい想いをさせているんじゃないかと心が痛んだ。
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