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「ねぇ、緋朝、今日は伊蔵くんも呼ばない?久々にの再会の小さなパーティーをしましょうよ」
「そうだね。久しぶりに伊蔵にも会いたいな」
連絡をすると、伊蔵はすぐにやってきてくれた。
伊蔵は俺との再会を文字通り、飛び上がって喜んで俺に抱きついた。
「ははっ!伊蔵も変わんねーな!会えて嬉しいよ」
「緋朝さぁーん、俺、仕事で緋朝さんの世界行くことあったらたまに行ってましたよ!だんだんと爺ちゃんになっていくの見てたっす!膝痛いとか、腰痛いとかめっちゃ言ってったすよね!」
「……言うな、それは」
俺たち3人は、その日の夜にささやかな食事会を楽しんだ。
伊蔵もまた水夜と同様、この死と生の世界の狭間に長くいる。
光の中へ行く事も出来るのか、聞いてみたけれど、万屋が楽しいらしく、気の済むまで、仕事を辞めるつもりはないとの事。
「でも、水夜さんや、緋朝さんに会えないのは寂しくなるんで、2人が転生したら、探してまたこっそり見に行きますよ」
伊蔵は、俺たちを交互に見ながらシシシと笑っていた。
そんな伊蔵を嬉しく思う。
***
伊蔵を送り出したあと、満天の星空の中、手を繋いで裏の森を少し歩いた。
と、言っても電灯がないので、館の灯りが届く狭い範囲だけで。
今まで3人で楽しく喋っていただけに、森はすごく静かに感じる。
俺たちが落ち葉を踏みしめる音すら大きく感じた。
「ねぇ、見て。覚えている?ここ、私達が関わった人達の形見の品を埋めた所よ」
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