再会、暇乞、邂逅

5/10
前へ
/360ページ
次へ
「勿論覚えてるよ」 「あれから、ここから、この辺りまで、形見の品が増えてるの」 水夜が四角くく指差した範囲は、結構な広さだ。 俺が知ってる場所から、館の灯りが届かない数m先の範囲まであった。 沢山の人たちを助けて来たんだと分かる。 「……1人でよく頑張ったね」 「えぇ、緋朝と約束したもの。これで心置きなく光の中へ行けるわ」 「そうだな、俺も一緒に行くよ。向こうに行ったら、どんな事をしていたのか話を聞かせてくれよ。時間はたっぷりあるしな」 水夜は、俺の腕に自分の腕を絡めると、ギュッと力を込める。 「そうね、全部話すわ。実はあの後も、ずっと毎日日記を書いて来たもの」 「えっ!?」 俺が驚くと彼女はフフフと笑った。 「聞いて貰うのが楽しみ」 そして、俺たちは夜が明ける前、森の奥に見える光を目指して歩いた。 生きている頃は怖かった暗闇が全然怖くない。 勿論、俺の横に水夜がいるからと言うのもあるけれど。
/360ページ

最初のコメントを投稿しよう!

190人が本棚に入れています
本棚に追加