再会、暇乞、邂逅

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光の中。 そこは、不思議な場所だった。 桃源郷、そう言い表すのが、一番しっくりくるだろうか。 俺は、そこで水夜の色々な話を聞いた。 日記に纏わる体験談だ。 霊本人が状況を理解し、受け入れ、水夜自体も理解してあげるというのは大変だったけれど、だからこそ、すごくやりがいのある仕事だったと彼女は語った。 そして、その話の聞くのは、とても楽しかった。 そして、話をする彼女の横顔を見つめているのも幸せだった。 彼女もたまに俺を見上げて、そして、ニコリと微笑む。 ずっと、ずっと待っていた光景だ。 本当に幸せだった。 そして、どれくらいの月日が経っていたのだろう。 ゆったりと流れる天国の毎日の中、日記の話が全て終わる頃、俺たちは生まれ変わる事になった。 そう、また、お別れだ。 でも、そんなに、寂しくない。 死んだら仏になるって言うのはこう言う意味もあるのかな。 欲がなく、今の自分を受け入れる気持ちが強い。 あぁ、それとも見かけは20代でも、すでに爺さんだからかな? でも、絶対に会えると信じているからだ。 「緋朝」 「ん?」
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