再会、暇乞、邂逅

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*** 俺は山崎 灯真(とうま)。 仕事の関係で今、アメリカへ来ている。 小さい頃から、海外に興味があって、インターナショナルな仕事につきたいと思っていた。 で、念願叶って、ようやくアメリカへ来たけれど、なかなか仕事を覚えるのが大変だ。 でも、数年間、この地に住むことになるし、頑張るしかない。 最近、友達も出来たし、少し気がラクかな。 「灯真、それは何?刺青かい?」 質問して来たのは、一番仲の良いマイクだ。 俺の為に割とゆっくりと英語を発音してくれる優しいヤツだ。 「あぁ、これ。生まれつきの痣だよ。面白い形してるだろ?日本語で勾玉って言うんだ。ん、英語でも勾玉は勾玉か?」 俺は左手の薬指にある勾玉の形をした痣を見せた。 「左手の薬指なんて、まるで結婚指輪みたいだな。 灯真、please marry me?」 「ちょ!やめろよ!」 ふざけてマイクがプロポーズしてきて、そのまま笑いながら去っていく。 俺は眉間にシワを寄せて彼を見ていたが、最後には笑って手を振ってその場を離れた。 その時だった。 後ろから人が近づいているのに気が付かず、俺はうっかりぶつかってしまったのだ。 「きゃっ!!」
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