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「あっ!ごめんなさい、すみません!」
金髪の女性。
ぶつかった拍子に、彼女の持っていた物が落ちた。
咄嗟に俺も拾う。
色々な書類を拾い上げ、彼女に手渡す。
「本当にすみません」
「大丈夫よ、ありがとう!拾ってくれて助かったわ」
彼女は笑顔で、金の糸のようなサラサラの長い髪を耳にかけた。
その時。
彼女の薬指に痣があるのがチラリと見える。
えっ!?
痣?
俺と、同じ形の痣?
ただ、俺の勾玉の向きとは逆だ。
でも、全く同じ大きさで同じ形……
俺が彼女の手を取ると、「何!?」と驚いて思わず手を引っ込めようとしたが、俺が自分の薬指を見せると彼女は目を見開いて、俺を見上げる。
何でだ?
何でなんだ?
何故同じ痣がある?
そう思っているのは彼女も同じだった。
「俺、えっと、灯真って言います。山崎、灯真」
「私は……ミア。ミア、サンダースよ」
お互いに名乗り合ったけれど、知らない人だ。
でも、彼女の目を見ていると、何故か懐かしい気持ちになる。
お互いにしばらく見つめ合っていたが、彼女はハッと我に返り、笑顔で「会社に戻らなくちゃ!」と持っていた荷物を抱え直した。
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