たて子さん

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ガタンと押入れの床が開く。 立ち上がり、俺も床下を覗くと、そこに階段が続いている。 階段はコンクリートで出来た物だが、綺麗に整えられたような感じではなく、段差はグニャグニャと歪んでいた。 下の方は電気もなく、暗くて見えない。 ただ、階段には血がついた何かを引き摺られたような痕があり、下に続いているのは分かる。 「この下に、誰かいるのね?」 水夜がやよいさんに聞くと、縦になった目が細められ、楽しそうに頷いた。 その階段を、やよいさんはヨロリヨロリと下りていく。 そして、俺たちにも下りてくるのを促すかのように振り返った。 水夜は何のためらいもなく、その階段を下りようとする。 「や、ちょっといいのか?水夜」 「ここで行かなくてどうするの?」 水夜は俺を振り返る事もなく、その階段をバランスを取りながら下りていった。 一瞬迷ったが、陽が落ちてきた今、この部屋に取り残されるのも怖い。 俺も追いかける。 でも、ここは2階だ。 1階を前に調べた時に、2階から続くこんな階段や、もしくは部屋があるような間取り、あったかな…… そんなことを思いながら、俺も階段を下りるが、段差が斜めになっていたり、幅が短いのもあったりで、とにかく下りにくい。 大体だけど、多分十数段下りた。 慎重に下までなんとか到達すると、前に暗い廊下が広がっている。 電気がないからかなり暗い。 やよいさんと水夜はもう少し先まで歩いて行ってしまっていて、もうほとんど見えなくて、急いで追いかけた。
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