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いつも2階から見る景色は、つまらなかった。
双子の伊織は元気に学校にも行き、友達とも遊びに行くのに、私はいつもその様子を窓から見ているだけ。
だけど、伊織は優しくて大好きだ。
「弥生、弥生」と声をかけてくれる。
いつも、髪を綺麗に結んでくれたり、私に勉強を教えたりもする。
私は産まれてくる時から、異常があった。
他の人より目の位置がおかしかった。
つり目が酷いのだ。
歯並びもかなり悪くて、歯が生えてこない場所もあったり。口を開ければガタガタだ。
12歳になったときに、目の位置が正常になるように手術をしたけれど
失敗。
目の周りの皮は突っ張り、傷がいつまでたってもミミズ腫れのような膨らみが消えない。
こんな顔じゃ学校へも行けない。
親も私を連れて外へ出て行こうとはしない。
なんで、こんな顔に生まれてきたんだろう。
妹の伊織は綺麗なのに。
親も学校へ行きなさいとは強く言ってはこなかった。
それは私を同情して?
それとも自分の娘がこんな変な顔で外に出るのが恥ずかしいから?
注目を浴びるのが困る?
嫌な感情しか生まれなかった。
私はそんな事を思いながら、伊織が学校へ登校していくのを2階の窓からよく眺めていた。
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