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家の前で手を振り、2人は別れの挨拶を交わしている。
私はその様子をカーテンの隙間から、こっそりと見ていたんだけど……
伊織の隣にいる彼が、ふと顔を上げ、こちらを見た。
目が合い、ペコリと頭を下げられた。
私の顔……見られた?
私はカーテンをスッと閉めると、窓から遠ざかる。
心臓がドキンとした。
綺麗な目だったな。
背が高くて、かっこよかったな……
……いいな。
初めて、こんなに胸がドキドキしている。
「ただいま、弥生!」
「……おかえり」
「どうしたの?顔赤いよ?熱あるんじゃない?」
伊織は私の所へ寄ってきて、額を触った。
「んー…熱はなさそうね、でも横になったら?」
「大丈夫よ」
「そう?なら、いいんだけど」
伊織は、制服を脱いで、部屋着に着替え始めた。
いいな。
いいな。
私も伊織のようになりたい。
友達も欲しい。
恋だってしたい。
……でも、この顔じゃ……
みんな怖がって近づかないよ。
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