やよいさん

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「え……」 「駿に会わせるなんて出来ない」 「お友達になりた」 「イヤよ!弥生が双子の姉妹だとバレたら、どんな風に思われるか分からない!」 伊織は私の言葉を最後まで聞かずに、大きな声で叫んだ。 私と……伊織の間の空気に、亀裂が入ったように見える。 でも、こんなに悲しいのに、涙も出ない。 駿くん……は、 そうよ。私みたいな顔の子、友達にもなりたくないだろうし、ほんの、ガラスのかけらみたいな夢だった。 伊織は悪くない。 そうよ、伊織は悪くない。 伊織の初めての彼だもの。色々不安だものね。 仕方ないよね…… 私は無言のまま、1階へ下りた。 ちょうどその時、母が買い物から帰ってきた所で、私がキッチンにいることを知らずに、入ってきて、小さく悲鳴をあげるほど、私の存在に驚いた。 「ちょっと!びっくりするじゃない!?何?欲しいものがあれば持って行くから1階にはあまり下りてこないでって言ってるでしょう?びっくりするのよ」 「お母さん、わたし、友達が欲しい」 「は?友達?無理よ。今お母さんがびっくりしたみたいに、みんな驚くわ。家で勉強してなさい。友達なんて出来るはずがない」 そこに伊織が2階から泣きながら下りてきた。 泣いている伊織に母は擦り寄り、心配した声でどうしたの?と伊織に声をかけた。 「もしかして、弥生が伊織を泣かせたの?」 こっちを睨む母を無視し、わたしは2階へ上がった。 泣きたいのはこっちじゃないか。 もっとわたしを慰めてくれてもいいんじゃないか?
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