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何のために産まれてきたのかな。
こんなに傷つく為に産まれてきたの?
私、充分傷ついた。
もう許して神さま。
そう思ったけれど、そううまく人生なんて変わらない。
醜い私は変わらない。
一生。
***
私は夜中にキッチンへ行き、包丁を握る。
同じ部屋で寝ている伊織、そして2階の私達とは別の部屋で寝ている両親の首を一気に切り裂いた。
あっという間に死んだ。
両親は私と同じになれと強く思い、私を産んだ罰を与えてやれと思った。
だから、殺したあとに、包丁の先で目尻を上に切ってやった。
失敗して眼球も潰れてしまったけど、どうでもいい。
伊織は、その美しい顔は残してあげたくて、両親と同じように首を深く切ったあと、かぼちゃを半分に切るように、首に包丁を当てて、力一杯、包丁の背を押した。
1度では切れず、何度も包丁に力を込めた。
何度目かで、伊織の頭がゴロンと枕から転がった。
血みどろになったけれど、伊織の綺麗な顔は残っている。
胴体と離れた伊織の頭を持って、ギュッと抱きしめた。
1人になった私は、一度だけ伊織とお揃いで買って貰ったワンピースを箪笥から出す。
明日、学校に来ない伊織を心配して駿くんが家にやってくるかも知れない。
一度だけ。
近くで見たい。
一度だけで、いいから。
私は血しぶきで汚れた2階の部屋を、誰が来ても良いように綺麗に掃除した。
だけど、次の日の夕方。
私は駿くんが来るのを待ったけれど、何故か来る事はなかった。
もう1日だけ待とう。
来なければ、もう1日……
いつ、駿くんが来てもいいように、髪を梳かし、花のピンも止めた。ワンピースも着る。
でも、駿くんはなかなか来ない。
ーーーそのうち、何故か両親も伊織もいなくなった。
私だけ、誰も探してくれない。
そうだ、友達。
誰でもいい、友達を作りたい。
もう、この家には誰も居ないから、お茶でもだしておもてなししよう。
いつか、こんな見た目の私でも、友達だと言ってくれる人が見つかるかも知れない。
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