やよいさん

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謝ろうとしたけれど、彼は手探りで家を出ようとする。 ……悪い事をしてしまった、という思いはあったので、その男性をそのまま追うことはしなかった。 ただただ、ごめんなさいと思ったから……。 この事を反省して、私は人に会っても声をかけるのをやめた。 昔のように窓から外を覗くだけ。 幸い、1人じゃない。 子供達がいてくれるし。 そのまま、時は流れて、 勝手に私の家に入る人もいるけれど、私が現れると、相変わらず怖がって逃げた。 お母さんの言う通りだったと、今更、思う…… だけど、ある夕方。 とうとう、会いたい人に会ってしまった。 「駿くん……」 数年ぶりに会う駿くんは、すっかり大人になり、だけど、爽やかで素敵な面影は変わっていなかった。 心の中に潜めていた、淡い恋心に小さく火がついた。 彼は、うちの家をチラリと見上げたけれど、そのまま通り過ぎて行く。 いや…… 彼を引き止めなくては。 やっぱり、会いたい。 今日は、あのワンピースを着ていないけれど、あのお花のピンも止めていないけれど、これを逃したら、もう会えないかも知れない。 私は階段を駆け下り、それから駿くんを追いかけた。 「駿くん!」 彼が私を振り返った瞬間、彼の目が見開いたのが分かった。
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