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恐怖の目だ。
分かっていた。
きっと私をみて怖がられると。
だけど、ゆっくりお話を聞いてくれたら、分かってくれる。
とにかく、家に入って、冷静に話をしたい。
私は彼の手首を掴むと、なるべく怖がらせないように、ニッコリ笑って、家に入って貰った。
家に入っても、彼は私を怖がるのをやめなかった。
お茶を出す前に、私は伊織の双子の姉妹だと言おう。
そしたら、きっと、少しは落ち着いてくれる。
「覚えてますか?伊織を。私、伊織の双子の姉妹なんです」
説明したけれど、彼は私が何を言っているのか分からないようで、何で話を聞いてくれないのか、私も分からない。
そして、彼は「ごめんなさい、ごめんなさい……助けて……」と私に手を合わせた。
……ショックだ。
何を謝っているのか。
私を見ようとしない駿くんに傷つく。
「駿くん」
私が言葉を発すると、ひぃ!と悲鳴を上げた。
私は駿くんの前に座って、その顔を覗き込んだ。
怖がらなくていいよと言いたかった。
「寄るな!バケモノ!」
その言葉が私の胸に突き刺さる。
伊織には笑顔を向けて、私には、バケモノ……
ハァハァ言いながら、四つん這いで逃げようとする駿くんを、許せなくて。
私は、駿くんの足首を掴むと、引っ張って握り潰した。まるでバナナを握ったかのように、あっさり潰れた。
「ああぁあぁぁあああっ!!」
駿くんの悲鳴を聞いて、急いで手を離す。
こんな事をしてはいけない!
私は布団を出すと、彼をその上に寝かせた。
彼は痛さの為か、なかなかジッとせず、布団に血がグチョグチョと滲んでいく。
だけど。
足を抱えて、転がり呻く彼は、もう私の物だ。
2人の子供達がいる部屋に、あとで、連れて行ってあげよう。
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