幸せに導く

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俺が見た夢がもし本当ならば、彼女は人殺しをしたい訳じゃない。 友達が欲しいのだ。 だけど、もしかして、水夜があの3人の骨をあの部屋から出してあげようといった事で、子供たちと好きな人を彼女が連れて行って欲しくないと怒っていたとしたら。 水夜の存在が邪魔と思って、俺が気を失っている間に、水夜を殺してしまったり、怪我をさせている可能性がある。 水夜は怪我に弱い。 しかも、虫だらけのお茶も飲んでいるんだ。 早く助けて、あの屋敷に何とか帰らないと。 何とか怒らせないように、それから冷静にやよいさんに話しかけるしかない。 「やよいさん、水夜は?」 もう一度聞くが、彼女は何の言葉も言わずに、俺の頭の傷をタオルで拭こうとしている。 無視をしているのか、それとも単に俺の心配で頭がいっぱいになっているのか? とりあえず、やよいさんの機嫌を損ねないように気をつけて、喋る。 「やよいさん、ありがとう。このタオルで頭の傷を巻いていいかな?心配してくれてありがとう」 やよいさんは「う!う!」と言いながら、2回頷いて俺にタオルを渡す。 俺の話している事はちゃんと理解しているっぽい。 俺はタオルを頭全体に被り、後ろで結んだ。 「ね、俺とやよいさんは友達だよね? やよいさんてどんなお菓子が好き?今度みんなでパーティーしない?水夜もやよいさんとの一緒のパーティー喜ぶと思う。次、ここへ来る時買ってくるからさ、今日はもう夜遅いし、俺も水夜も仕事だ。帰っていいかな? またここへ来て来ていい?」 俺はなるべく友達に話すように、友達だと思って貰えるように、笑顔で話す。 帰ると言うことに怒りだすかも知れない。 水夜を連れて帰れないかも知れない。 だけど、方法が他に思いつかなかった。
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