幸せに導く

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「っ……!」 急に真っ白な視界になった。 ……天井だ…… ゆっくりと顔を動かすと、自分はベッドで寝転がっていて、水夜の屋敷にいると分かった。 「はぁぁ……」 大きなため息が出る。 良かった…… 元の場所に帰って来たんだ。 怖かった。 ホントに怖かった。 だけど、やよいさんとの約束…… 額から頬に汗がつたい、それを手の甲で拭うと汗じゃない。 血がベットリとついた。 頭の傷の血はまだ止まっていなかった。 「あ!」 それより、水夜! 俺はガバッと勢いよく起き上がると、自分の部屋を出て、水夜がいるハズの部屋の扉をノックする。 「水夜!水夜!」 何度ノックしても返事がない。 「水夜、入るぞ?いいか?開けるからな」 そっと、ドアノブを回す。 中を覗くと、多分俺が貸してもらっている部屋と同じ作りだ。 ツカツカと入り、すぐにベッドを見つける。 そこに横たわる水夜を見つけると、声をかけた。 「水夜、大丈夫か!?おい!」 彼女はゆっくりと目を開けた。 「……緋朝」 「どうしたらいい?何か持ってこようか?」 「……別の部屋に連れて行って欲しいの」
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