幸せに導く

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水夜の白い肌が更に青白くて、具合が悪そうなのに、俺を睨み、いつもより低い声で喋る水夜は、言うことを聞かないとホントに怖そうだ。 俺はベッドに座り、下を向くと、彼女は俺の隣に両膝をついて、手を伸ばしてきた。 水夜は、俺の髪の毛を、優しく優しく掻き分け、傷口を探す。 目の前には彼女の胸の膨らみ。 そして、上目遣いで、チラリと見ると水夜の綺麗な唇が近くに見えた。 つい、顔を見たくて頭をあげようとすると、 「こら、動かないで。ジッとしてて」と言ってくる優しくも厳しい声に、思わず心がグッと揺れる。 「あった。傷は思ったより浅いけど、広く切れてるわ……ちょっと待って」 彼女は救急箱から脱脂綿と消毒液を含ませると、それをそっと頭に押し当てる。 「いっ……つ!」 「ごめんね、痛いわよね、我慢してね」 俺がなるべく痛まないように気遣ってくれているのが分かる。 水夜が自分の体がツライのに、俺の為に一生懸命治療しようとしてくれてるのが、 なんか、嬉しいけど、胸が痛いような苦しいような。 変な気持ちになって、彼女をギュッと抱きしめる。 「ちょっと!傷の手当て出来ないでしょ?離しなさい」 「もう俺の事はいいから、そのまま寝ろ」 俺は彼女をそのままベッドに押し倒すように寝かせると、そのまま部屋を出た。 自分の部屋に戻って扉を閉めてから立ち止まる。 顔を両手でゴシゴシと擦った。 しばらく彼女がいなかったからかな。 ちょっと優しくされただけで、何をトキめいてんだか。
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