幸せに導く

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「そんな問題じゃないだろ。 とりあえず、1回家に戻ってくる。それから、あれだ、飲み物とか、あと食べやすいような物とか買ってくる。」 水夜は小さく頷いた後、激しく咳き込んだのだけど。 彼女の口から、人間が出すとは思えない緑色のスライムのようなタプタプしたゼリー状の物が出てきた。 中に昨日飲んだ虫の死骸が混ざっている。 「な……っ」 変な物を吐き出した事にすごく驚いた。 具合が悪くて嘔吐しているのだから、水夜は息遣いが荒く、苦しそうにしていた。 スライムはと言うと、ベッドの上で急に水分を失い、サラリと砂の様になった。 どう言うことだ…… 「ごめんなさいね、緋朝。汚い物を見せてしまって……きっと、不思議に思っているだろうけど、また、今度説明するわ」 「う、うん……大丈夫か?」 彼女は、つらそうにベッドから起き上がる。 やはり、下着だけで寝ていたようで、流れる長い髪の下に、白いブラが見えた。 華奢な彼女は服を着ている時には、そう分からなかったが、意外にも胸が大きく、俺の方が恥ずかしくなって胸元から目線を外らした。 水夜は枕元の砂になったスライムを、床にザッと落とす。 俺が来る前にも吐いたのか、すでに床に砂が沢山溢れていた。 「元気になったら、掃除するから……これは何もしなくていいから。……今は横になるわね」 「俺、なんか買ってくるから」 俺は急いで部屋を飛び出した。
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