幸せに導く

15/38
前へ
/360ページ
次へ
「ほら、タオルで包んだから、頭の下に入れて」 水夜の頭の下に手を入れて、優しく持ち上げる。そこにジェル枕を差し込むと、そっと頭を下ろす。 「冷たくて気持ちいい」 その言葉を聞いて、俺は椅子の背もたれを前にして腰をおろし、ふぅと息を吐いた。 水夜は俺の顔を見ると、小さく微笑む。 ちょっとした沈黙が流れた。 外からザザザと木々が強い風に吹かれる音がする。 「……ねぇ、緋朝」 「ん?」 「この緑の粉、あるじゃない?」 「え?あ、うん」 スライムの砂の事だ。 「……そこの緑の粉ね、裏の林に撒くの。理由はよく分からないけど、霊が集まってくるのね。 ちょうど、そこの窓から見える所よ。その霊がここの部屋に入ってきて、そして私がそれを食べる。 いつもは、そんな事しなくても、この緑の粉を買うんだけど」 「買う!?」 初めはフンフンなるほどね、と聞いていたけれど、買うと聞いて驚いた。 人の嘔吐したものを買うのか!?
/360ページ

最初のコメントを投稿しよう!

190人が本棚に入れています
本棚に追加