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「ほら、タオルで包んだから、頭の下に入れて」
水夜の頭の下に手を入れて、優しく持ち上げる。そこにジェル枕を差し込むと、そっと頭を下ろす。
「冷たくて気持ちいい」
その言葉を聞いて、俺は椅子の背もたれを前にして腰をおろし、ふぅと息を吐いた。
水夜は俺の顔を見ると、小さく微笑む。
ちょっとした沈黙が流れた。
外からザザザと木々が強い風に吹かれる音がする。
「……ねぇ、緋朝」
「ん?」
「この緑の粉、あるじゃない?」
「え?あ、うん」
スライムの砂の事だ。
「……そこの緑の粉ね、裏の林に撒くの。理由はよく分からないけど、霊が集まってくるのね。
ちょうど、そこの窓から見える所よ。その霊がここの部屋に入ってきて、そして私がそれを食べる。
いつもは、そんな事しなくても、この緑の粉を買うんだけど」
「買う!?」
初めはフンフンなるほどね、と聞いていたけれど、買うと聞いて驚いた。
人の嘔吐したものを買うのか!?
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