幸せに導く

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「30分程したら戻ってきてくれないかしら?」 「分かった」 俺は背中で水夜の声を聞きながら、急いで部屋に戻った。 *** 自分の部屋でコンビニで買ってきたパンを食べ、それからまたベッドに転がる。 水夜の日記がちらりと視界に入った。 「……」 分厚い日記帳。 つまり、あれだけ、彼女は生きる為に怖い霊を食べて来たのか…… 俺はまだ数ページしか読んでいないけど、あんなに怖い思いをした。 更に、今回、彼女は体調を崩した。 俺も危ない思いはしたくないし、水夜も……心配だからこんな事をして欲しくはない。 でも、もし彼女がまた怖い世界に行きたいと言ったなら…… でも、他の誰かとは行って欲しくないという気持ちがある。 「んぅ……」 俺はベッドでゴロゴロ転がって、うつ伏せになった。 ……胸が何だかモヤモヤする。 もし、俺の他に、そうやってどこかの世界へ行ける奴が見つかったなら、きっと迷わず水夜は行く気がする。 それが男なら。 水夜がまた危険な目にあって、今回のようなことになったら。 水夜がベッドで下着姿で寝ている姿を思い出す。 ……俺はそれ見て逃げたけど、そんな男ばっかりじゃないんだぞ。
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