幸せに導く

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館の裏にまわると、木以外ほんとに何もない暗い所だ。 木々の隙間から溢れる光も少なく、昼間なのに、もう陽が沈みそうな暗さだ。 夜になると何も見えないだろう。 「ここ一帯に撒くわ。緋朝はあっち側をお願い。私はこっちに撒くから」 水夜はビニールから緑の粉をさらさらと、適当に蒔いた。 それを見て同じように俺も言われた場所に撒く。結構広い範囲だ。 「さぁ、終わった。ありがとう、ホントに助かった。霊が集まって来てくれたら、もうすこし早く元気になれると思うの。帰りましょう」 俺は水夜の後ろについて、屋敷に戻る。 彼女が寝ていた部屋に入って窓の外を見ると、何もない。 緑の粉が辺りに撒かれているのが見えただけだった。 「何もまだ来てない?」 俺は水夜を振り返ると、水夜はワンピースを脱ごうとしていた。 「ちょ!ちょちょ!ちょっと待て!男の前で脱ぐな!」 「……緋朝は、私の事おばあちゃんって言ってたでしょ?おばあちゃんが目の前で着替えてても、別にどうもしないでしょ?」 根に持ってるのか、水夜のやつ。 「ごめん、そう言う意味じゃない」 「どう言う意味もないと思うけど」 彼女はサッサと脱ぐと、今度はハンガーにキチンと服をかけてベッドに横になった。 俺はその間、窓の外を眺めて下着姿の水夜を見ないようにしていたんだけど、少し見てしまっただけに、想像してしまう。
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