幸せに導く

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*** 次の日。 俺は会社の仲間たちと会社帰りに、居酒屋へ行く事になった。 初めは楽しんでいたんだけど…… だんだん水夜が苦しくなってないだろうか?とか、しんどいのに無理してないだろうかと心にチラつく。 やめやめ!そんな事ばっかり考えているから、俺はダメなんだ 「宮本さぁん、考え事ですかぁ?さっきから盛り上がってなーいー!」 昨日連絡をくれた事務の女の子、矢田紀子(やだのりこ)が声をかけてきた。 「あー…矢田さん、ちゃんと楽しんでるよ。ボーッとしてただけ」 「それならいいんですけどー、私の事、のんって呼んで欲しいって前から言ってるのにー」 矢田さんは、可愛い。 内巻きに巻いた明るめのブラウンの髪、くりくりした大きな目、女の子らしいフワフワのスカート。 水夜の美しさには、全然劣るけど…… ……って何を考えてるんだ! 水夜の事は忘れろ! 「ねぇ、宮本さん、この後2人で抜け出しちゃいません?」 「え?」 「みんなに内緒で」 上目遣いで見つめる彼女。 これは、完全に誘ってるよな? 俺も矢田さんの事を良いなと思った事がないワケじゃない。 これは、イケるんじゃないか? 「う、うん……」 そう言ったのに、水夜の顔が脳裏によぎる。
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