幸せに導く

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そして、夜遅く。 2階の、俺の部屋と、階段を挟んで逆の廊下。 その奥の部屋に俺たちはいた。 そして、ベッドに並んで横になっているが、眠れるワケがなく。 水夜が話していたように、おまじないをかけられた。 それは、ただ単に俺の両まぶたを彼女が指先でフワッと上から下に撫でるだけのものだったのだけど、俺はその瞬間、勝手に眠りについたようだった。 気がつけば、俺はやよいさんの家の玄関に立っていて、横を見ると、水夜が俺を見上げている。 そして、食べ物が入ったカゴは水夜、飲み物とお菓子が入った袋は俺が持っていた。 その世界は、まだ昼間のようで、窓から入る太陽の光で中の様子がはっきりと分かる。 しかし、お化け屋敷のような気持ち悪さと、変に生活感が残る気持ち悪さで、改めてゾッとする。 「……緋朝?」 「大丈夫」 大丈夫。 やよいさんたちを助けるんだ。
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