幸せに導く

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「どうしたのかしら……」 「分からない」 俺たちは再び2階へ戻り、もう一度押入れを覗いた。 「これ……何かしら」 布団の間に、紙の端が見える。 水夜が引っ張ると、くしゃくしゃの二つ折りの1枚の紙が出てきた。 開いてみると文字が書いてある。 「……やよいさんだわ」 " ひとも様 、みや様 " と俺たちの名前が横書きで書かれていた。 綺麗な字だ。 " 初めて人に手紙を書きました。 とても感激しています。 友達と言ってくれてありがとう。 パーティーをしようと言ってくれてありがとう。 でも、約束と言って指切りをした事が何よりうれしかった。 あなた達が帰ったあとも、私の大切なお友達ができたと喜びました。 でも、そんな時に、空から光が私の足元にさしました。 この光をのぼって行かなければならないと、何となく分かったのです。 子供達と俊くんも、やはり大事なお友達です。 彼らと、私はその光をのぼろうと思います。 ありがとう。 忘れません 弥生 " 「……」 俺たちは読んだ後も、無言でその手紙を見つめ続けた。
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