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「作業は二時間ほどかかるけど、黒傘でも見て待つかい?」
キースは隣の部屋に案内され歓声をあげた。そこには何本もの黒傘が壁にズラリと飾られていた。
ひとえに黒傘と言っても大小様々で、張ってる面の数や形も少し違う。それが開いた状態や閉じた状態で壁の金具に器用に引っ掛けてある。
「机のやつ以外は全部僕のだから、好きに触っていいよ」
「これ全部フィレルさんのなんですか!?」
「うん。僕は武具職人でね、全部僕が作ったものだよ」
キースは感動のあまり涙を流し、フィレルは愉快そうに笑う。
フィレルはまた真剣な空気で刀身をスッと研いでいく。
その姿が綺麗で、キースは黒傘よりもフィレルに見惚れた。
盾の張替えなど、研ぎ作業以外になると、フィレルはキースにドラゴンについて色々と教えてくれた。
ドラゴンハンターの歴史はたかだか二十年程だった。
元々人間とドラゴンは生息地域が違っており、たまにドラゴンが現れても天災扱いで戦う概念はなかったのである。
「ただね、黒種の増加でその均衡が崩れたんだ」
「コクシュ?」
「ドラゴンには黒種(コクシュ)と白種(ハクシュ)の二種類いるんだよ」
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