竜殺しの黒傘

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フィレルは黒傘についても詳しく教えてくれた。 黒傘は白種が黒種の片翼を丸々と使って作った武具であり、故に一体から二本しか作れない。 黒傘は正にドラゴンの翼そのもので、翼を動かす太い腕骨を中心に据え、翼を広げて微調整を行う細くしなやかな指骨を使って、翼部分の伸縮性のある鱗皮を張る事で、開閉を可能にする。 腕骨の先を尖らせておく事で、黒傘を閉じたまま槍や棍棒のように使ってもいいし、開いて吐き出される炎を防ぎながら突進して突き刺す、という防御と攻撃を兼ね備えている。 フィレルも黒傘に魅了されていて、個体差や倒された状況によって出来も変わってくるのがまた良いのだと、目を輝かせてキースに語った。 キースも飽きる事なく熱心に耳を傾けた。 それから二週間後。 キースはグレッグに連れられてドラゴン狩に出た。 街を出て、生息地を隔てる森の側まで来ると、先にガンディールたち正規のハンターが来ていて、テントを張っている。 そこにはフィレルの姿もあった。
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