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ドラゴンが現れてから三日後の夜、キースはフィレルのテントに顔を出す。
そのテント横には大の男ぐらいの大きさはある翼が二枚置かれていた。
バタついてたし、怪我人も出たが、一種の流れ作業のようにドラゴンは倒された。
「残念だったね。トドメはグレッグの所じゃなかったんでしょ?」
「はい。ドラゴンの肉はお預けです」
「フフ。寂しいこと言うなよ」
フィレルはクルミのような塊をキースに差し出す。
その塊からは焼けた肉の香りがした。
「ドラゴンの軟骨だよ。もらった翼に付いてたものを焼いたんだ。肉ほど力は得られないけどせっかくだからさ」
「あ、ありがとうございます!」
キースは一口で食べる。全く臭みもクセもなく、コリコリとして美味しい。
大して力は得られないとフィレルは言っていたが、キースはいつもより力がみなぎる感覚に襲われる。
「ねぇ、散歩に行かない?」
「……いいんですよ?」
ドラゴンとの決着が夜だったため、他のハンター達も野宿しており、肉を得た者たちは宴に興じ、他は疲れて既に寝ているのがほとんどだ。
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