1人が本棚に入れています
本棚に追加
「ガンディールさん!実は……」
キースの声が途切れる。窒息するように、カハッカハッと咳き込んで、胸を抑えて震えだす。
「お前、心臓を食べたのか!?」
ガンディールはキースに駆け寄ったが、キースは首を横に振った。
「食べ、て、ない……」
涙目でキースは訴えるが、それは紛れもなくドラゴン化の現象である。
キースがフィレルに視線を向けると、ガンディールも彼を見た。
「フィレル、何をした?どうやったんだ!?」
「ガンディール。僕にも何がなんだかわからないよ。でも、彼はもうドラゴンになる。早く戦闘準備しないと!」
キースの皮膚は黒く染まりひび割れ始める。
ガンディールは悪態を吐くと、大声で周囲に呼びかけた。
視界が歪む中、キースはフィレルの手元を見る。何かを握りつぶし、指の隙間から液体の滴る手元を。
フィレルとの会話がキースの脳裏に走馬灯のように過ぎる。
小さい動物がドラゴン化すると小さいドラゴンができるんだよ。
ドラゴンの心臓は二つ。
軟骨部分だよ。
彼が死んだ時、僕はドラゴンになるんだ。
最初のコメントを投稿しよう!