竜殺しの黒傘

17/18
前へ
/18ページ
次へ
「ガンディールさん!実は……」 キースの声が途切れる。窒息するように、カハッカハッと咳き込んで、胸を抑えて震えだす。 「お前、心臓を食べたのか!?」 ガンディールはキースに駆け寄ったが、キースは首を横に振った。 「食べ、て、ない……」 涙目でキースは訴えるが、それは紛れもなくドラゴン化の現象である。 キースがフィレルに視線を向けると、ガンディールも彼を見た。 「フィレル、何をした?どうやったんだ!?」 「ガンディール。僕にも何がなんだかわからないよ。でも、彼はもうドラゴンになる。早く戦闘準備しないと!」 キースの皮膚は黒く染まりひび割れ始める。 ガンディールは悪態を吐くと、大声で周囲に呼びかけた。 視界が歪む中、キースはフィレルの手元を見る。何かを握りつぶし、指の隙間から液体の滴る手元を。 フィレルとの会話がキースの脳裏に走馬灯のように過ぎる。 小さい動物がドラゴン化すると小さいドラゴンができるんだよ。 ドラゴンの心臓は二つ。 軟骨部分だよ。 彼が死んだ時、僕はドラゴンになるんだ。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加