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「黒傘探してどうすんのさ」
「もちろん、ドラゴンハンターになるんだ!」
店主は一拍開けて、大笑いする。
村の皆にも「ドラゴンハンターなんてなれない」と嗤われたが、店主の嗤いは少し違った。
「今更ドラゴンハンターなんて儲からないぞ。それに今の武器は大剣と盾だ」
店主の案内でキースは乳白色の大剣と、黒い鱗皮の盾の前へ来る。
その値段にキースは軽い悲鳴をあげた。キースの全所持金とほぼ同額である。
店主は呆れたように頭を振った。
「黒傘はこの倍するぞ」
「ええっ!!」
「君、所属組織も探してないだろ。普通は組織でまず下働きしながら学ぶんだよ。そこで武器のお古も使わせてくれるだろうしな。ただ、ドラゴンハンターの全盛期は二十年近く昔で、今じゃ南の大きな街くらいにしか組織はねぇがな」
キースは黒傘を持っていればドラゴンハンターなのだと思っていた。
いや、実際は黒傘を持つ理由にハンターを目指しただけで、他は何も考えていなかった。
店主の計らいで南の街まで出る商人に同行し、キースは流されるように街にたどり着き、やっとハンター組織の一つがあるという酒場を訪れる。
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