竜殺しの黒傘

3/18
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
「あ、あの、僕、ドラゴンハンターになりたいんです……」 筋骨隆々な男たちの前で、足が竦みながらも声をかけた。 男たちは全部で七人。昼間から酒を酌み交わしており、ヒョロリとした体格のキースを見て鼻で笑う。 中でも左頬に爪痕が残るグレッグが大声で笑った。 「今時、酒場のドラゴンハンターに来るとはバカなガキだなぁ。まぁ、そんな体じゃ、正規のハンターにはなれねぇもんなぁ」 「せ、正規?」 「おまけに学もねぇ、田舎者か」 グレッグはもう一口酒を呑んでから、ニタリと笑ってキースを見た。 「いいぜ。人手が足りてねぇからな。早速だが、武器をフィレルの所に持ってってくれ」 キースは別の男に手招きされ慌てて駆け寄る。 五本の乳白色の大剣に、四個の黒い盾。どれもボロボロでドラゴンとの戦闘の痕が見られる。 「黒傘はないのかぁ……」 まだ出会えない黒傘にキースがボヤけば、グレッグたちは大笑いした。 「あんな面倒で金のかかるもん、今時使わねぇよ。でもフィレルの所にいきゃ、いっぱい見られるぞ」 「本当ですか!?」 その言葉を希望に、武器と防具を束ねて担いで、ガチャガチャとキースは駆け出した。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!