竜殺しの黒傘

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黒種は一般的に知られる、黒い鱗に大きな体、怪力で獰猛で火を噴く。 白種はドラゴン特有の強靭な肉体ではあるが、怪力はなく火も吹かない、白い鱗肌の人型である。人と会話できる知能も持ち、狡猾な種類だった。 黒種と白種の力量差は黒種一体に対して白種五体で五分五分であり、黒種の増加により生存の危機に陥った白種は人間を使う事にした。 白種は黒種を一体まず倒して、その肉を人間に食べさせたのである。 「ドラゴンって美味しいんですか?」 「フフッ、問題はそこじゃないよ。ドラゴンの肉は食べるとドラゴンに近い強靭な体になるんだ。ただの剣じゃ役に立たないが、ドラゴンの骨を研いで剣にし、ドラゴンの鱗皮を盾にする事で、ドラゴンに対抗できる武具も与えた。そして始まったのが人間とドラゴンとの大戦なんだよ」 「それが約二十年前って事ですか?」 「そう。それまでの恨みや、流行りもあって、今では黒種の数はかなり減ったんだ。ただし、生息地域がお互いに変わったせいで、ハンター業は下火ながらに続いているんだけどね」 扉が叩かれて、男が一人現れる。 小綺麗な服装と、威厳ある雰囲気。眉間に刻んだ皺で苦悩と厳格さを体現したような男。
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