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語りながらも手を動かしていたフィレルは、グレッグからの仕事をやり終える。
「いつ白種に変わるかわからないから、僕はいつもここで独りだ」
ピッタリの金額を預かってきたキースがそれを全て渡すと、フィレルは少しだけ返してくれた。
「家出人なら何かと入り用だろ?お近づきの印にね」
武具をまとめてキースに渡す時、フィレルはしっかりとした声で告げた。
「ガンディールは本当に正しい。最近は特にドラゴンに呑み込まれる事件が多い。グレッグの所でも犠牲が出てるしね」
「食べられるんですか?」
「それだけじゃない。ハンターの仕事が減ってるから、酒場のハンターが無知な者に心臓を食べさせて、ドラゴンを作り出していると噂されているんだ」
キースは顔を強張らせ、その肩をフィレルが優しく叩く。
「渡された肉を不用意に食べなければ大丈夫。困ったら僕の所に来ると良い」
「はい!」
キースは力強い味方を得た気がして、胸を張って酒場に戻る。
酒場に残っていたのはグレッグ一人で、実際に彼を見るとキースは身体が震え出した。
「やっと戻ってきたか。フィレルはお喋り好きだから、色々聞けたか?」
「いろ、いろ……」
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