陰謀の血族

3/8
143人が本棚に入れています
本棚に追加
/302ページ
「男達は、こっちに来い!女は右だ!!」 ギルドの分団長達が先頭に立って、検閲の列を誘導している。大道芸人たちの、華やかな列に紛れて…レダニアは、順番を待った。  キャラバンの女達は、検閲など慣れたもので、検閲官の男達に妖しく目配せをしては、次々に城下へ入ってゆく。  レダニアも、検閲官の男に豊満な胸を押し付けて、しなを作ってみせた。すると、男はあっさり陥落し、何の取り調べもせずに、彼女を城下へ通してしまう。  難無く王都への潜入に成功した褐色の踊り子は、身に着けた煌びやかな衣装を、通りすがりのロバの背に引っ掛けると、狭い路地に紛れ込んだ。  街の飲食店では、城下の人々が、この騒ぎについて噂話をしている。 「一体、何事だ?城門を閉じるなんて??」 「王宮近衛騎士団(アーセルナイツ)も、久し振りに見たよ。」 「まぁ、近衛騎士団なんざ、普段お目に掛かることが無いからなぁ。」 「そういや、午後の鐘が二つ鳴る頃、王宮広場で重大な発表があるらしいぞ。」 「何だよ、戦でも始めるつもりか?」 ざわざわ… ざわざわ…ざわ… 聞こえて来る雑多な会話を繋げて、レダニアは、状況を把握する。 (午後の鐘が二つ鳴る時…王宮広場で…) 頭の中に覚書をすると、褐色の踊り子は踵を返した。目指すは、王宮広場である。
/302ページ

最初のコメントを投稿しよう!