陰謀の血族

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明と暗とを同時に含んだ、独特の空気が漂う王宮広場(パムレスク)には、重大発表の報を聞き付けた街の人々が、既に沢山集まって来ている。 レダニアは、不吉な予感に苛まれながら、その時を待った。 ──そして、午後の鐘が鳴る。 ゴォオン…ゴォオン… 二つ目の鐘の音が、陰鬱な余韻を遺して空の彼方へ消えてゆくと──程なく、王宮のバルコニーに、皇太子リオルド・ザラと、皇后オクタビアが現れた。 喪に服す黒のドレスに身を包んでいるが、オクタビアの顔には、満足気な笑みが浮かんでいる。そして、皇太子の胸には、皇王の勲章が輝いていた。 ざわめく大衆。 皇太子は拡声器の前に立つと、最初の一声を放つ。 「聞け、皆のもの!昨日、偉大なる皇王(おう)ゲオルグ・ドゥエイン五世陛下が(みまか)られた!!」 刹那。王宮広場に、(どよめ)きが起きた。
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