陰謀の血族

7/8
141人が本棚に入れています
本棚に追加
/300ページ
大衆の反応は、想像していた通りだった。 …皇后オクタビアは、込み上げる笑いを、扇の向こうに押し隠す。 (そうよ、愚民ども。もっと怒れ、もっと怒れ!) 腹の中で繰り返す、呪詛の言葉。 オクタビアは、くつくつと肩を揺らしている。 愉悦に打ち震える母妃を他所(よそ)に──リオルドは、再びエイダム卿に促されて、演説を続けた。 「尚、第二皇子セイラーンには、協力者がいる事が判明した。以下の者は、第二皇子セイラーンの謀反に加担した(とが)で、極刑を言い渡すものである。罪人──后妃エレノア!同じく后妃イルマ、第三皇子ジルベルト!! 以上の三名は、近日中に銃殺刑に処す。次期皇王リオルド・ザラ=クレメンスの名に()いて──!」 刹那。 王宮広場(パムレスク)は、割れる様な歓声に沸いた。 「新皇王陛下、万歳!」 「英雄王、万歳!!」 「クレメリア皇国に栄えあれ!」 新王リオルドを讃える声、声、声。 誰もが彼を愛し、敬い、崇めている。 その麻薬の様な幸福感に、リオルドは酔った。 『貧弱な皇太子』から『英雄王』へと呼び名が変わりリ、真実は、虚偽の出来事に書き換えられる。
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!