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…その不穏な報せは、彼等が離宮で水遊びを楽しんでいた時に齎された。
王城で謀叛が起こり、最愛の父王が命を落としたと──無血の玉座が、聖なる英傑王の血で、真っ赤に染められたというではないか!
悲報を届けた使者は、死に物狂いで走り続けた挙句、自らの命と引き換えにする様に息絶えた。その背には、深い太刀傷が刻まれてあった。
夏の離宮は、忽ち、衝撃と怒号と嘆きの大音声に包まれる。
そうして。皇女と皇子は、城に残した母妃と弟妹達の身を案じ、自ら馬を駆ったのである。
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