2 ジナ皇国

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ルイさんと一緒に街を歩いて分かったのだが、どうやらルイさんはかなり有名な人形技師らしい。街の人々から黄色い歓声や羨望の眼差しを浴びまくっていた。 「ルイよ、お主見た目によらず人気者なのだな」 「いやはや、人形を作り続けていて気が付けば巨匠などという呼び名が定着してしまっていたのですじゃ」 セリフとは裏腹にルイさんは物凄く誇らしげで、魔王サマに褒められたのが堪らないという感じだ。そして魔王サマの言う通り見た目によらずただのオジサンではなく、凄い人形技師のようである。 「着きました。此処がワシの研究所兼自宅ですじゃ」 そこはいかにも工房という感じの建物だった。 しかしボロさは無く、小綺麗な、どこか懐かしいような雰囲気が漂っている。 「さあ、中へどうぞ」 中も綺麗にされており、よく分からない部品が種類ごとにまとめられていたり、作りかけの人形が作業台の上に置かれていたりした。 「おかえりなさいっス!あれ、お客様っスか?」 突然に奥から、可愛いエルフらしき人物が出てきた。大人しそうな見た目とはギャップの激しい話し方である。 「こんにちはなのだ!」 「お邪魔しております」 「魔王カルティア様とそのメイド様じゃ。ルナ、お茶をお出しするのじゃ」 「了解っス‼︎」 そんなやり取りの後、私達は奥のテーブルでお茶を飲みながら話していた。 「ルナはワシの最高傑作のオートマンじゃ。魔力内蔵型で見た目も完璧。更に何よりも成長する"心"を持つ。本当はもっといろんな経験をさしてやりたいのじゃがワシ自身が持病で遠出は不可能なのじゃよ」 なんとルナさんはオートマンだったらしい。見た目や質感は本物の様だったし、ルイさんの話を聞く限りとんでもないオートマンのようだ。 「そこで頼みがあるのじゃが、ルナをあなた様方の旅に加えては頂けぬじゃろうか。護衛としても使えるはずじゃし、ああ見えて知識も豊富じゃ。役に立つと思うのじゃが……」 ちらっと上目遣いで見てくるオジサン。 「モチロン良いのだ!」 「なんと!いいのですかな⁈」 上目遣いはスルーで、魔王サマの即決でルナさんが旅に加わることが決まった。護衛という役割が取られないかだけが物凄く心配である。 「だそうじゃ。ルナ、世界を見てくるのじゃ」 「いいんスか⁉︎ありがとうございまス‼︎」 ルナさんも嬉しそうなので何より。魔王サマもルナさんに興味しんしんという様子である。 「自分のことはルナと呼んでくださいっス」 「うむ、妾はカルティア。魔王なのだ」 「サクラです。魔王サマのメイドです」 自己紹介も済み、早速出発である。街の案内もルナがしてくれるらしい。 「では、達者でな」 「行ってくるっスよ‼︎」 こうしてルイさんの工房を後にしたのだった。
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