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2 ジナ皇国
魔王サマと私は無事ハルナストへ訪れたのだが、これからどうすれば良いのかさっぱりわからない。
「これからどうしますか?」
「適当に散歩でもするのだ!」
魔王サマの一言でその辺を少しふらついてみることに決まる。
「じゃあ行きますか。あれ?」
歩き出そうとした時、ふとうずくまる何かが目に入った。
「うぅぅ、、」
そこには、中型犬くらいのサイズの、小さいオジサンらしき人物が、呻きながら苦しそうにしていた。
「大丈夫なのだ?」
魔王サマは心配そうな声でそのオジサンに近寄って行った。(その顔が好奇心に輝いていたのに気づいたのはサクラだけである)
「うぅ……グハッ!」
突然に吐血した。おまけに白目まで向いている。
「うわっ‼︎ 大丈夫なのだ⁉︎」
流石の魔王サマも驚いたらしく、回復魔法を大急ぎで発動させた。
「回復魔法は苦手なのだ」
そんなことをぼやいていたが見事な技で、オジサンはあっという間に跳び起きた。
「ややっ⁉︎ ここはどこですかな? あなた方は? ワシは何を……?」
そして起きるなり、質問の雨を浴びせかけてきたのだ。
「ふふん。お主が死にかけておったのを妾が救ってやったのだ!」
その質問に自慢気に答えたのは魔王サマである。腰に手を当てて踏ん反り返って、とても偉そうだ。
「なんと! これは麗しきお嬢様! ありがとうございます!」
お嬢様と崇める態度は更に魔王サマを増長させる。
「フフフフフ。まぁ妾にかかれば容易いことよ。ところでお主、名は何という?」
「ははっ! ルイ、ハオ・ルイと申しますじゃ」
どうやらこのオジサンはルイというらしい。
「魔王サマ、せっかくですしルイさんに此処を案内してもらったらどうです?」
「ふむふむ、良い考えなのだ。ルイとやら。妾は魔王カルティア・メロネッサ。この街を案内して欲しいのだ」
「なんと‼︎ 魔王様であらせらせましたか。勿論喜んで案内させて頂きますじゃ。しかし、まずはぜひとも我が研究所へいらして下さいな」
魔王サマの魔王宣言を冗談とでも取ったのか、ルイさんは華麗にスルーしていた。
そしてなんでも、ルイさんは人形技師という職業の方だそうで、私がアンドロイドと思っていた"オートマン"と呼ばれているらしい魔法人形の製作家らしい。
周りの魔力を取り込んで稼働しているらしいが高価なものでは魔力を内蔵しているものもあるらしい。
「では付いてきて下さいですじゃ」
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