あとがき

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あとがき

 まきやです。  今回は短編「イフ ~私が『嫌い』を嫌う理由~」をお届けしました。最後までお付き合い、ありがとうございました。  このお話は、エブリスタの超・妄想コンテスト「あなたを嫌いな理由」の為に書き上げたものです。いつもコンテストページには運営からの一文作例が出ています。今回もです。見てみると、どれも「○○さんが誰/何を嫌う」という内容でした。  そんな物を見ると、まきやはつい反骨精神を出したくなります。 「普通に書いてもつまらないな。どうせなら、誰も書きそうにない話にしよう!」  あまり人が書かない話といえば、私が得意の擬人化です。悪い癖ですね(^_^; なので早々に主人公は人間以外に決まりました。  人じゃ無いなら、じゃあ何者にしよう。動物主人公は過去に散々やっていました。そうだ、ここは無機物なんかどうだ? でもやってないわけじゃない。水もやったし、風もやった。月もやった。あれ、ネタ切れ? いやいや考えればまだまだある……じゃあ、もっと抽象的なものはどうだろう。  概念は? 例えば村とか国家とか、そんなものが意識を持っていて、我々を高みから見下ろしている。時には手を出すけれども、基本的には見ているのみで思いだけをめぐらしている。「馬鹿だなあ」とか「愚かだなあとか」……そんな話がかけたら楽しいかも……。  でもテーマに合うかな? その大きな存在が『嫌う』ってどういう事だろう? うーん、難しい。  自分の擬人化小説の中のテーマに「小さなものが集まると、ひとつの大きな心になって、個々は何も考えられなくなる」という思考があります。拙作「私」であったり「パラケルススの娘」であったり、どれも作品の背景にある物でした。  蟻は、数十万の集団になると途端に全体の意思が確立すると言います。作者はそんな生命の不思議に惹かれ、影響されていたのです。  そうか。この主人公の大いなる者の感情だって、その場所に生きている全ての生命が集まり、立ち上がってできた『総意』で出来ているんだ。  だから彼が『嫌う』ものは、すべての生き物の『嫌い』の集合。だったら少数だと思っていた弱い生き物が、だんだん数を増やし、いつの間にか彼に多大な影響を与える生物に成長する物語にしたら、話が書けないかな?  そんな理由で、この短編が誕生しました。ほんっと訳わかりませんね、私の頭の中(汗)  話の生い立ちは以上です。  最後なので、答え合わせを望まれた方に回答します。「私」は精神的には国家であり、物質的には土地(日本だとすれば列島)なのです。そして「イフ」はもちろん我々人間です。 (つまらん!って声は聞こえないように耳に蓋をします)  私の好きな手塚治虫の「火の鳥」に未来編という話があります。本作と同じような創成の物語です(あちらの方がもちろん先です、当たり前)。そこで育つのは人間ではなく、ナメクジが進化して文明を持っていくのです。最初はそんなSF色の強い方向も考えましたが、文字数の制限もあったので、そこまで発展することは止めました。  文体ですが、最近はライトノベルな作品を書いてきたので、長編「シキラク」で使ってきた書き方に飢えていたのでしょうね。気づいたら最初から、皆さんから指摘のあった、硬めの表現になっていました。  まとまりが無くて申し訳ありません。最後です。まきやの作品を読んでいただいた方、新しく求めて来られた方も、今回はちょっと方向性が違うので驚かれたかもしれません。  けれど、これも正常なまきやです。  あいつ、こんな物語もたまには書くんだと、お心に留めていただければと思います。    それでは皆さま、次はおそらくまた、短編作品のあとがきでお会いしましょう。 ※この物語では核兵器や戦争を容認するような表現があるかもしれませんが、あくまでもフィクションであり、物語上の演出・表現です。 2019年7月4日   まきや
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