プロローグ

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プロローグ

 僕の行きつけの本屋には「傘」があった。  東京から遠く離れた、とある地方の中心都市。  人口はそこそこあるが、時世に漏れず、この街にあった個人経営の本屋は平成に入って次々と姿を消して行った。  僕は大型書店より、店主のこだわりが感じられる小さな本屋さんが好きだった。その中でも、実家の近くにあった本屋さんは、大人向けの本ばかりではなく、コミックや漫画週刊誌の他、児童文学なども充実しており、僕のお気に入りの場所だった。  そこは、店主のおじさんと、その娘さんが二人でやっていた。お姉さんがとてもきれいで、思春期の頃に淡い恋心を抱いていたのも懐かしい思い出だ。
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