傘と青空

2/4
前へ
/4ページ
次へ
バタッ! 手首から落ちた紺の傘を拾おうとして、手が傘にふれた途端、傘は短くてボロい黄色の傘に変わっていた。 「えっ!」 よく見るとマジックテープのところに「マカダ ナギ」と書いてある。 私のじゃん。 驚きで言葉が出ない。 小学校卒業した時に捨てたはずなのに。 「なんで?」 私が傘を手に立ち尽くしていると、ランドセルを背負った小学生三人が近づいてきた。そして真ん中の女の子が、 「お姉ちゃん、すみません。それあたしの傘」 「えっあなたの傘?」 「はい」 「名前は?」 「間賀田 凪だよ?」 名札を裏返して私に見せた「あたし」は、ありがとうといい、足早に二人のところにかけよる。 その後ろ姿をつい私は呼び止めていた。 「ねえ、お姉ちゃんが面白いこと教えてあげようか」
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加