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その日も俺たちはKEKのνキャノンコントロールルームにこもり、νキャノンの改良に勤しんでいた。いきなりそこへ武装した黒づくめの覆面三人組が乱入してきたのだ。
「手を上げろ!」
やれやれ。来るべき時が来たようだ。
長岡も西島も俺も、両手を上げて連中を振り返る。
「俺たちはこれからニュートリノ砲を破壊する。命が惜しければここを出ていけ。そして、事故が起こってニュートリノ砲が破壊された、と発表しろ」
ということを、連中のリーダー格と思われる男が、短機関銃をこちらに向けながら実に流ちょうな日本語で語った。どうも潜入歴の長い工作員らしい。日本は良くスパイ天国などと言われるが、その実態を垣間見た気分だ。
「そりゃあいいけど、この部屋の状況は隠しカメラで防衛省にそのまま届いてるんだけどね。あんたの声もばっちり入ってるよ」
俺は手を上げたまま、わざと勿体をつけた調子で言う。
「それがどうした。お前らはただ言われた通りに発表すればいいだけだ」
「あんたたちは、νキャノンが一つだけだと思ってるのかい?」
「いくつあろうが、全て破壊する」
「そう。でもねぇ……それはあんたたちにはできないよ」
「なぜだ?」
「ここであんたたちが俺たちに危害を加えたり、破壊活動をしたりしたら、その瞬間、あんたたちは一瞬で死ぬからね」
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