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ニュートリノ砲。別名、νキャノン。こいつは超高エネルギーの大量のニュートリノを、目標に向かって発射する。
ニュートリノは質量がほとんどゼロで電荷も持たない素粒子だ。貫通性が非常に高い。それは地球ですらも光の速さで余裕で貫いてしまう。
νキャノンが発射するニュートリノの生成過程はかなりややこしい。まず、水素をイオン化し加速して金属に衝突させることでπ中間子を大量に生成する。マイナスの電荷を持ったパイオンはμ粒子と反μニュートリノに崩壊する。ミューオンは軽粒子(強い相互作用をしない粒子)の一種で、これはさらに電子と反電子ニュートリノとμニュートリノに崩壊する。νキャノンはミューオンを高エネルギーで加速し、その崩壊で生成した高エネルギーのニュートリノを目標に向かって発射するのである。
こうして発射されたニュートリノは、地球内部を進んでいくうちにそれを構成する原子と相互作用して、ハドロンシャワーと呼ばれる大量の高エネルギーのハドロン(強い相互作用を行う粒子)を作り出す。このハドロンシャワーは最終的にはほぼ全て中性子となり、その中性子が核弾頭を貫くことで、弾頭を未熟爆発させてしまうのだ。
原爆をまともに爆発させるためには、爆縮レンズという、一瞬で弾頭の中心に向かってすべての方向から弾頭の放射性物質を押しつぶす技術が必要だ。この爆縮がうまくいかないと、弾頭がそれ自身の爆発で吹き飛んでしまい、連鎖反応が最後まで続かずに終わって爆発の威力が極端に小さくなる。これが未熟爆発というものだが、ニュートリノ砲はそれを意図的に起こすことで原爆の弾頭を破壊してしまうのである。水爆は原爆を起爆に使っているため、原爆が使用不能になれば水爆も使用できない。
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